マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置とは
取り外し可能なマウスピース(アライナー)で歯を動かす治療法です。
透明な素材が使用されているため、比較的目立たず治療を行えます。
初診カウンセリングの内容 icon-angle-right
目立ちにくく、発音障害が少ない
透明で非常に薄いマウスピースタイプの矯正装置なので目立たず治療ができます。また発音にもほとんど影響しません。
取り外し可能
1)食事や歯磨きの際に取り外せるので、口腔内を清潔に保ちやすい。
2)装置の脱離、破損のリスクが少なく比較的遠方からの通院でも安心です。
3)マウスピースタイプなのでマルチブラケット矯正装置のように、舌や頬の粘膜を傷つけたりすることが少ないです。
金属アレルギーの心配がない
マウスピース(アライナー)はポリウレタン製のため金属アレルギーの心配がありません。
歯の移動量のコントロールがしやすい
1枚のアライナーでの移動量を0.25〜0.3mm程度に設定できるため、予想外に歯が動きすぎる心配がありません。
マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(インビザライン/薬機法対象外)での治療の流れ
当院で主に使用しているマウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置はインビザライン*(薬機法対象外)という製品です。
本製品に関する注意事項はこのページの下段項目をご覧ください。
❶ 初診カウンセリング 初診カウンセリングの内容を確認する icon-angle-right
❷ 精密検査 精密検査 icon-angle-right
❸ 診断と治療方針の説明 診断と治療計画 icon-angle-right
1〜3は全ての矯正治療において共通の内容です。
icon-exclamation-triangle マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(インビザライン/薬機法対象外)での治療が難しいと判断される場合は、初診カウンセリングにてお伝えします。
❹ 口腔内スキャナー(iTero Element)による光学印象
アライナーの設計・製作のため、歯列の3Dデジタルデータを記録します。
口腔内スキャンの様子
❺ マウスピース(アライナー)の設計・製作
口腔内スキャナー(iTero Element)で記録した3Dデジタルデータをもとに、クリンチェック・ソフトウェアで、マウスピース(アライナー)の設計を行います。
1本1本の歯について「3次元的な移動方向、移動量、動かすタイミング」を決定します。
その際、CTやセファロ分析のデータを活用し、最適な設計を考えます。
この設計には”矯正歯科の専門的な知識と診断力”が必要です。
icon-exclamation-triangle マウスピース矯正はどこでやっても同じ・・なんてことはありません!
クリンチェック管理画面の一部
❻ 治療開始
1)初回
1枚目のマウスピース(アライナー)のお渡し。使用・管理方法を詳しく説明します。
装着時間:飲食と歯磨き以外の時間で使用します。1日20時間の使用が必須です。
衛生管理:歯磨きとマウスピース(アライナー)両方の清掃を毎日欠かさず行います。長時間歯列全体が覆われるので、口腔内を清潔に保つ必要があります。
2)2回目以降
治療計画に基づき、アタッチメントやボタンの装着およびIPRを行います。
・アタッチメント装着
マウスピース(アライナー) による歯のコントロールを確実に行うため、アタッチメントという”レジンによる突起物”を歯面に装着します(歯冠色に近いレジンなので目立ちません)。
icon-exclamation-triangle アタッチメントが装着されるとマウスピース(アライナー)の着脱が少し大変になります。歯科衛生士が着脱のコツをお伝えします。
ブログ「アタッチメントとは」 icon-angle-right
アタッチメント
・ボタン装着
マウスピース(アライナー)矯正においても、ワイヤー矯正と同様に「顎間ゴム」を使用します。治療計画に応じてゴム掛け用のボタンやフックを歯の表面に装着します。
歯面に装着する補助装置
・IPR
IPR(Inter Proximal Reduction)とは、歯と歯がコンタクトしている部分のエナメル質をわずかに削除し隙間を作る方法です。1コンタクトあたり0.2〜0.5mm程度の隙間を作ることができます。
以上の前処置を行ったのち、2枚目以降のマウスピース(アライナー)をお渡しします。
その後のスケジュールは以下のようになります。
交換時期:10日毎に新しいマウスピースに交換します。
icon-exclamation-triangle 歯が計画通りに動いていない場合(歯とマウスピース(アライナー)の間の”うき”が大きい場合)は追加で数日同じものを使います。
通院間隔:1〜3ヶ月毎に歯の動きや咬合状態を矯正歯科医がチェックします。
マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(インビザライン/薬機法対象外)のセット
・リファイメント(修正のための追加治療)の準備
1シリーズの治療が終了した時点で「クリンチェックと実際の歯の動きのズレ」を確認し、再度スキャンを行い修正シリーズのマウスピース(アライナー)を作製します。(これを数回繰り返します)
リファイメント
❼ 保定観察期間
リファイメントのシリーズが終了し、「主訴の改善」と歯並び・咬み合わせに問題がないことを確認したら、全てのアタッチメントやボタンを撤去しリテーナー(保定装置)*を作製します。
歯を動かす”動的治療期間”に対し、歯が後戻りしないように安定させていく段階を”保定観察期間”と言います。
*リテーナー(保定装置)は、動的治療終了後に歯列の後戻りを防ぎ安定させるための装置です。マウスピースタイプ(Essix®︎)や固定式(Fix)のものがあります。
ブログ「矯正治療の期間」 icon-angle-right
❽ 定期通院終了
2年間の保定観察期間をもって定期通院は終了します。
ただし長期的に見ると「加齢による口腔内環境の変化により、歯並びも変化する可能性がある」ため、当院では保定観察終了後も”夜間のみのリテーナー使用”をお勧めしています。
リテーナー(Essix®︎とFix)
薬機法上の注意事項
当院で主に使用しているマウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置はインビザライン*(薬機法対象外)という製品です。
注意事項
国内では、装置材質のアレルギー等に関する安全性は認められていますが、薬機法*上の医療機器としては未承認です。その理由は、インビザラインを含む「海外カスタムメイド矯正歯科装置」は、日本の国家資格を有した歯科医師、歯科技工士が製作していないため、薬機法上の医療機器および歯科技工士法上の矯正装置に該当しないからです。(医療機器として未承認であることにより、医薬品副作用被害救済制度の対象となりません。)
またマウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置の中には、国内の歯科技工所で製作され薬機法により承認されている製品もあります。
当院では、症状に合わせて処方する製品を判断しています。
*薬機法
薬機法とは、正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言います。2014年にそれまでの薬事法が改正され名称変更とともに施行されました。
厚生労働省icon-external-link
*アメリカのアラインテクノロジー社より提供されている「マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置」で、FDA(アメリカ食品医薬品局)より医療機器として認証を受け、ISOを取得している工場で製造されています。
これまで世界100カ国以上の国々で提供され、800万人以上の治療実績があり(アラインテクノロジー調査:2020年1月現在)、一般的な矯正治療に伴うリスク以外の、インビザライン固有の重大な副作用の報告はありません。