デコボコ(叢生 そうせい)
歯が重なったり捻れたりして歯列に凸凹がある状態で、叢生や乱杭歯とも呼ばれます。いわゆる八重歯も叢生にあたります。
顎が小さい日本人に非常に多い症状です。
平成23年の厚生労働省の歯科疾患医療調査では12~20歳の40%以上が叢生と報告されています。
原因
①顎の大きさと歯の大きさのバランスがとれていない
②乳歯の早期喪失による永久歯の萌出スペース不足
③乳歯の晩期残存による永久歯の萌出障害
叢生のリスク
①歯磨きがしにくく虫歯や歯周病のリスクが高い
②ものが咬みにくい(胃腸障害や嚥下障害を起こしやすい)
③歯科治療が行いにくい(虫歯治療だけでなく、歯周病治療やインプラント、入れ歯などあらゆる歯科治療がしにくくなる)
④審美的障害(見た目がよくないことによる心理面への影響)
患者 初診時年齢25歳7カ月(製薬会社)
主訴 でこぼこ、口元の突出。
〉 診断
歯と歯槽基底の大きさの不調和による叢生
〉 治療計画
抜歯:14,24,34,44,38,48
装置:リンガルブラケット矯正装置(STb)歯科矯正用アンカースクリュー
〉 治療概要
叢生と口元の突出改善のため抜歯を選択した。歯科矯正用アンカースクリューとMFTによりプロファイルを改善した。
治療期間:30ヶ月
治療費:130万円+tax
〉 治療上のリスク等
歯根吸収、ブラックトライアングル、舌癖による後戻りなど(MFTの継続が特に重要です)。
*矯正治療では上記以外にもリスクや副作用が考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。
患者 初診時年齢20歳0カ月(大学生)
主訴 でこぼこ。
〉 診断
歯と歯槽基底の大きさの不調和による叢生
〉 治療計画
抜歯:38,48
装置:ラビアルブラケット矯正装置(上顎:クリアブラケット、下顎:デーモンブラケット)
〉 治療概要
口元の突出は認められなかったため、38,48の抜歯のみで排列した。
治療期間:18ヶ月
治療費:80万円+tax
〉 治療上のリスク等
歯根吸収、ブラックトライアングル、リセッション、後戻りなど。
*矯正治療では上記以外にもリスクや副作用が考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。
患者 初診時年齢24歳2カ月(ホテル勤務)
主訴 でこぼこ、口元の突出。
〉 診断
叢生、上下顎前突
〉 治療計画
抜歯:14,24,34,44
装置:リンガルブラケット矯正装置(STb)歯科矯正用アンカースクリュー
〉 治療概要
叢生と上下顎前歯突出の改善のため抜歯を選択した。歯科矯正用アンカースクリューとMFTによりプロファイルを改善した。
治療期間:24ヶ月
治療費:130万円+tax
〉 治療上のリスク等
歯根吸収、ブラックトライアングル、舌癖による後戻りなど(MFTの継続が特に重要です)
*矯正治療では上記以外にもリスクや副作用が考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。
「デコボコ」に関する Q&A
Q 25歳の女性です。歯並びが全体的にデコボコしていて八重歯があります。頑張って歯磨きしても磨ききれていないようで、虫歯になりやすく困っています。せっかく虫歯の治療をしても、すぐにまた虫歯ができてしまいます。歯茎も腫れていて口臭も気になります。今の年齢でも矯正治療はできるのでしょうか?
歯列にデコボコがある状態を叢生(乱杭歯)と呼びます。八重歯は叢生の典型的な症状です。原因は歯の大きさと顎の骨の大きさのバランスがとれていないことにあります。歯が大きすぎる、もしくは顎の骨が小さすぎるのです。
叢生で最も困るのが歯磨きのしにくさです。隅々まで歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯肉炎、歯周病に罹患するリスクが非常に高い状態なのです。またデコボコがあると歯科治療自体が難しくなります。
成人の方でも矯正治療は問題なくできます。
治療方法としては、歯を抜かずに歯列を大きく広げる場合、歯を抜いて隙間を作り並べやすくする方法、歯のサイズを少し細くして(IPRといいます)並べる方法などがあります。デコボコの量だけでなく、口元のバランスも考慮して診断を立てます。
Q 矯正治療を考えているのですが、1年後に挙式を控えています。それまでに前歯のデコボコだけでも治せないでしょうか?
A 矯正治療の期間は1年半〜2年位が一般的です。このうち前歯6本は最初の半年位でおおまかに整えることができます(残りの期間は前歯を引っ込めたり、微調整をしたりする期間です)。平均的なペースで進めば1年後には前歯はほぼ整っているでしょう。また「歯の裏側からの矯正(舌側矯正)」で治療した場合には、他の人には気づかれないので、装置を外すことなく(治療が滞ることなく)挙式当日を迎えられるメリットがあります。