2021年01月22日 編集
1 新型コロナウイルスの名称
この記事を書いている2021.1月下旬の段階で、国内の新型コロナウイルスの累計感染者数は35万人を超えています。
あっという間に世界中に蔓延した感がありますが、実はコロナウイルス(CoV)自体は“風邪症候群”の原因(全体の10~15%)として日常的に存在するものです。
先に流行した重症急性呼吸器症候群 (SARS)の病原体 SARS-CoVや中東呼吸器症候群(MERS)の病原体MERS-CoVもコロナウイルスの仲間です。
現在世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は遺伝子レベルでSARS-CoVと約80%同じであることが報告され、国際ウイルス分類委員会(1)は
新型コロナウイルスの名称をSARS-CoV-2と決定、WHO(2)がSARS-CoV-2によって引き起こされる感染症の名称をCOVID-19と名付けました。
icon-link (1)International Committee on Taxonomy of Viruses(ICTV)icon-arrow-right
icon-link(2)WHOicon-arrow-right
2 感染経路(3)
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染経路には、飛沫感染、接触感染、エアロゾル感染があります。
1)飛沫感染
咳やくしゃみなどの飛沫を浴びることによる感染。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は感染力が強く、
マスクを着用していない場合には近距離での会話による飛沫からも感染するリスクがあります。
2)接触感染
物体表面に付着したウイルスに接触した手指で鼻、口、目の粘膜を触ることによる感染。
3)エアロゾル感染
飛沫のうち数マイクロメーター以下の微小粒子をエアロゾル(マイクロ飛沫)と呼びます。
エアロゾル(マイクロ飛沫)は空中に長時間漂い感染を引き起こす可能性がありますが、
これにはさらなるエビデンスが必要なようです。(4)
icon-link(3)東京大学保険健康推進本部保険センターicon-arrow-right
icon-link(4)山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信 icon-arrow-right
3 感染様式
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は前述のように飛沫、接触、エアロゾル(マイクロ飛沫)などにより鼻、口、目から体内に入り込みます。
そして、標的となるヒトの細胞表面に存在する受容体(このウイルスではアンギオテンシン変換酵素2(ACE2))と
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)表面のSタンパク質が結合することで感染が成立し、ウイルスが細胞内に侵入します。
このACE2受容体は口腔粘膜、特に舌粘膜に多く発現します(5)。TVで見かけるPCR検査では鼻咽頭粘液を採取しますが、
感染者の唾液には鼻咽頭粘液と同程度のウイルス量が検出されているようです。
これは口腔領域を扱う私たち歯科医師に緊張感を与えると同時に、万全の感染対策への意識を強くするデータです。
icon-link (5)Xu H,et al. High expression of ACE2 receptor of 2019-nCoV on
the epithelial cells of oral mucosa. Int J Oral Sci.12(1),8. 2020.
4 感染対策
個人が出来る感染対策は「3密の回避」「手洗いの徹底」「マスクの着用」など、すでに“常識”となっていることが基本となります。(6)(7)
icon-link (6)WHO新型コロナウイルス感染症(COVID-19)特設ページicon-arrow-right
icon-link(7)厚生労働省新型コロナウイルス感染症情報特設ページicon-arrow-right
またクリニックが出来る対策として、当院では医療器具や室内の消毒、空気清浄機や換気による空間除菌を徹底しています。(8)
icon-link(8)当院のコロナウィルス感染体策について icon-arrow-right
さらに、歯科医療の立場からは「口腔内環境を整える」ことの大切さをお伝えしたいと思います。
上述のように、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染が成立する場となるACE2受容体は口腔粘膜、特に舌粘膜に多く発現します。
虫歯や歯周病を放置し口腔内の衛生状態が良くない状態でCOVID-19を発症した場合、口腔内細菌による重感染を生じウイルス性肺炎を重症化させる原因となります。
そのため通常の歯磨きだけでなく、舌磨き(舌苔除去)やデンタルフロス、デンタルリンスなどを活用し、口腔内衛生環境を整える必要があります。
当院では診療前に、全ての患者さんにリステリンによるうがいをしてもらいます(アレルギー問診の上)。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するリステリンやポピドンヨードの除菌効果は様々な機関でエビデンスの精査行われていますが、
口腔内を清潔に保つためには有効と考えています。(9)
icon-link (9)LISTERINE®.COM 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)最新情報 icon-arrow-right
(文・監修/医療法人社団Synchronize SYNC横浜元町矯正歯科 小玉晃平)
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