2021年07月02日 編集
文・監修/医療法人社団Synchronize理事長
公益社団法人日本矯正歯科学会認定医 小玉晃平
「横浜 矯正歯科」沢山あってクリニック選びが大変です。。。
横浜市には矯正治療を専門に行っている、いわゆる”矯正歯科専門医院”が多数あります。
一方、それよりはるかに多く”一般歯科で簡単な矯正治療もしている”クリニックがあり、その多くは以下のような体制をとっています。
① 一般歯科のドクターがセミナーを受講して、簡単な矯正治療に”トライしてみている。”
② 大学病院やフリーランスの矯正歯科医が、月に1度アルバイトで来ている。
③ 大規模な施設で、一般歯科だけでなく矯正歯科を含む各科の専門医が常勤でいる。
当院があるのは横浜市の中区ですが、近隣にはいわゆる”一般歯科で矯正も少しやっているクリニック”が多数あります。
そして近年、”①②のようなクリニックで矯正治療を受けている患者さん”からのセカンドオピニオンを求められる機会が非常に増えています。
その多くの方が、”現在の治療内容とクリニックへの不安”を口にします。
「検査をしていないのに、”とりあえずこれを使ってみよう”と装置を渡された。」
「装置の破損や不具合があっても、すぐに対応してもらえない。」
「担当医がしょっちゅう変わり、先生によって言うことが違っている。」
「治療期間が長いのに治っている気がしない。」
「治療の経過を説明してもらえない」
などです。
各診療体制での問題点を整理すると以下のようになります。
① 矯正歯科治療に必須な「頭部X線企画写真(セファロ)」を撮影する設備が整っていないことが多いようです。十分な検査ができないため、当然正しい診断と治療計画を立てることができません。
治療のゴールが設定できておらず、最も問題が起きやすい体制です。
また、歯科医師は矯正治療に関する専門的な教育を受けていないことが多く、セミナーなどで勉強していることが多いようです。
歯列矯正は年単位に渡る治療です。術者が自分の行った処置に対する結果を確認するのにも月〜年単位の時間がかかります。
治療結果を術者自身の経験値(実力)にフィードバックするためには何年も要するのです。
僅か数日のセミナーなどでは知識はついても、実践できる技術を習得するまでには至りません。
② 設備が整っていて、矯正歯科医(日本矯正歯科学会の認定医が望ましい)が治療を行うのであれば、診断や治療計画は問題ないはずです。
しかし、装置の破損や不具合(必ず生じます)があった場合、アルバイトのドクターが来る日に合わせなくてはならない不便さがあります。
一般歯科のドクターが応急処置はしてくれるはずですが、適切な対応ができない場合には後戻り(治療した歯が戻ってしまう)や予期せぬ動きをしてしまうリスクがあります。
また私自身も経験がありますが、”アルバイトのドクターは頻繁に変わったり、複数のドクターがローテーションで担当したりします。”そのため治療の進行度や患者さんの背景などが共有できずに、「担当の先生によって言うことややることが違う。」といった問題が起きやすい体制です。
③ 各診療科の専門医が”常勤”で対応できれば好ましい体制でしょう。
矯正治療は”正しく行われれば”「生涯を通じての最高の自己投資」になります。一方で治療費は比較的高額です。この記事を参考にしてクリニック選びは慎重に行って欲しいと思います。
公益社団法人日本矯正歯科学会のホームページ “矯正歯科治療のQ&A”に、以下のような学会からの回答があります。学会がコメントする必要がある程、大きな問題になっているということです。参考にしてください。
公益社団法人日本矯正歯科学会 https://www.jos.gr.jp/about
矯正歯科治療は非常に専門性の高い医療で、一般に歯科の大学を卒業した後に、さらに十分な修練を積んだ先生が治療にあたります。治療は顎や歯を動かす前に、これらの精密な検査を行いますが、これらの検査機器が整っていることも条件であり、さらにスタッフ教育など院内体制も充実していなければなりません。
従って、料金が安いことや単に近所ということで、安易に矯正歯科医院や病院を選ばないよう注意が必要です。本学会では認定医制度を実施しており、審査に合格した先生に対して、一定以上の知識と技術を取得していると認定しています。このホームページにも氏名を掲載していますので、これらの先生の医院や病院を選択されることもひとつの方法です。
いずれにしても、矯正歯科を標榜する歯科医院や病院で矯正相談を受けられ、十分な説明を受けられた後、再度検討されることをお勧めいたします。ご不安な場合、料金はかかりますが、他の医院や病院でもう一度矯正相談を受けてみられることも良い方法です。
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